2009/09イタリア旅行記:vol.4 ローマ→フィレンツェ一日目

他の日

vol.1 自宅→成田→ローマ:フィウミチーノ空港
vol.2 ローマ一日目
vol.3 ローマ二日目
vol.4 ローマ→フィレンツェ一日目
初めての都市間移動。芸術と肉食の都フィレンツェへ。石畳、マジ辛かった。写真多めです。
バールでエスプレッソを飲み、ジェラートをたっぷり食ってからホテルに帰って就寝、翌朝五時に目が覚める。夜は怖いから外出ないし、テレビ見ても良くわかんないからやることあまりないのですぐ寝てしまうのです。疲れてるだけだと思いますが。後、時差ボケの影響もある。なのでイタリアでの私はとっても早起き。
朝食まで時間があるのでシャワーを浴びたり、散乱した服をスーツケースに詰めたり、ガイドブックを読んだり、読みかけだったダンテの『神曲 煉獄編』を読んで(ダンテはかなりヘタレだけどウェルギリウスは超攻めだよなぁ。つか、ベアトリーチェの名前聞いた瞬間に元気になるとか露骨過ぎるだろjk)とか腐った感想を垂れ流したりしていた。ちなみに『神曲』は私が
「せっかく芸術の国イタリアに行くんだから予習するお!世界史、キリスト教、美術史関係は大雑把に把握してるから後は文学だお! ここは一発、文化の根底になるような古典を読むお! でもイタリア文学って……? ピノキオとか……? でもあれ、19世紀のお話だお……古典は古典だけどなんか違うお……となるとやっぱりアレしかないのかお……」
と言った感じでちまちまと読み進めていたのでした。口では
「せっかくだからイタリアに行く前に芸術を深く理解するためにイタリア文学最大の古典である神曲を読破するお(キリッ)」
なんて言ってたけど結局イタリアに行く前に読めたのは煉獄編の途中までだった。
朝食が始まる時間になったので食堂へ。昨日と同じようにもりもりと食べる。一心不乱に食べる。だって硬いんだもん、パンが。
とは言っても昨日より少し気持ちに余裕があったので割とゆっくりめに食べていたら食堂が満席になっていることに気付く。そして入りきれない人が居ることにも気付く。あ、満席になることってあるんだ……そして満席になって入りきれない人は放置なんだ……
無駄に早起きで腹ペコのため、すぐに食堂入りする私はそんなこと全然気付きませんでした。
待ってる人も居たのでさかさか朝食を食べ終え、食堂の外へ。ロビーでテレビの天気予報を見る。イタリアの天気予報士は制服みたいなのを着ていた。
朝食を食べ終えても確かまだ八時ちょっと過ぎくらいで、チェックアウトの時間にはまだ早い。天気も良かったのでホテルの周りを散歩してみよう、と少しの現金だけ持って外へ。
昨夜出歩いたせいか、良く晴れた天気のせいか、一日目のような恐怖感がかなり薄まっている。道に迷わないようにホテルを軸に移動。朝の一杯を求める人で賑わうバールを何件か巡る。私、本当にバール好きだなwww
バールも色々で、家族経営っぽかったり、バリスタが明らかにバイトのねーちゃんだったり、ジーパンTシャツだったり。ただ、どこのバリスタ達もすごく手際が良い。お客とのお喋りを途切れさせずにカフェを入れる手は止まらない。けど決して丁寧ではないww 下手するとマックのコーヒーより出てくるの早いけど。そして旨い。エスプレッソ好きにはまさにパライソだな。スタバとかより全然美味しいエスプレッソがスタバの半額以下で飲めるんだもんな。
そんな感じでバールを三軒ほど巡った後、道端でのバザー? に遭遇。日用品を売ってるらしい。

ちょろちょろ覗いてホテルに戻った。今思えばここでハンドル式のハーブカッターを買えば良かったかも知れない。フライパンとかは流石に荷物になるから買えないけどw
ホテルを無事チェックアウトし、マキさんのところへ行き、借りていたイタリアの携帯電話などをお返しする。ついでにPCを貸してもらい、持参したポータブルHDDにカメラのSDカードから写真を移し変える作業やmixi更新などを行う。デジタル一眼レフとPCを直接繋げるケーブルは持ってきていたんだけど何故かマキさんところのPCで認識されなかったので近所の電化製品を取り扱ってるお店でUSB接続のカードリーダを購入した。15ユーロくらいだったかな? 電車の時間ギリギリになってきたのでマキさんにお礼を言ってお別れ。随分お世話になりました。日本人で頼れる方がいてくれて良かった、心強かった。
来た時と同じようにローマの石畳に悪戦苦闘しながらスーツケースを転がしてテルミニ駅へ。

電車が遅れるのは当たり前、時間通りだったら奇跡、という評判を聞いていたトレニタリア(旧イタリア国鉄。日本で言うJR)ですが最近はそうでもないらしく、遅れても10分くらいだとか(それでも日本じゃ大遅刻だけどw)。私の乗るフィレンツェ行のIC(インターシティ。在来線特急電車みたいな位置付。特急料金は発生するけどユーロスターより少し安い。ユーロスターは新幹線みたいなもの)も時間通りに入線しているのを電光掲示板で確認。電光掲示板の見方はググると解説してくれてるページが結構出てくるので不安だと見ておくといいかもです。
で、電光掲示板に書いてある番号のホームへ移動。でもやっぱり不安だったので電車を予約した時にEメールで送られて来たチケット(プリントアウト済)を駅員さんに見せて確認してもらい、売店でお菓子と乗り物酔い対策の炭酸ジュースを買って乗車。駅員さん達は緑っぽい制服着てるので分かりやすいと思う。
ホームと電車の高低差が激しく(ホームが低い分、乗り口が高いのかな、多分)、スーツケースを持ち上げるのに一苦労するなーと思っていたら先に乗車した旅行者のアメリカ人っぽいご夫婦が手を貸してくれた。なんかすっごくじんわり来た。御礼を言って自分の席を探すと車両の一番端っこ。これ幸い、とスーツケースを車両の入り口付近の荷物置き用のスペースにワイヤーロックでくくりつける。やっぱり目の届くところに荷物があった方がいいからね。ちなみに今回はお金をケチっているので二等車に乗っています。一等車には飲み物や軽食、新聞のサービスもつくとか。値段はそこまで変わらないのでお金に余裕があったら一等にも乗ってみたい。 
席は対面式の2×2二人掛けで真ん中を簡易テーブルで区切ってある。これ、なかなかいい。小さいけどゴミを捨てるスペースもあるし。バッグからカメラと読みかけの『神曲』なんかを取り出してジュースを飲んでると電車が動き出した。車内放送は音質すげー悪かったw
ローマを出発してフィレンツェへ向かう電車。フィウミチーノ空港からローマ市内に来た時と同じようなマンションや落書きだらけの廃屋がポツポツとある風景がしばらく続いたけど、しばらくしたらひたすらブドウかオリーブか小麦の畑が広がるようになった。時々丘の上に教会だか古城だかわからないのがポツンと見える。ラツィオ州からトスカーナ州へ鉄道の旅、なかなか旅情たっぷりだ。









車窓からなので画質悪くてすみません。
私は最初本を読んでいたけれどだんだん酔って気持ちが悪くなってきたのでipod nanoで音楽を聴いたり、窓の外の写真を撮ったり、ジュース飲んだりお菓子食べたり、向かい合って座っている老夫婦(not日本人)と曖昧に笑い合ったりしていました。たまに駅に止まると駅名をガイドブックで探したり。知ってる名前はボローニャくらいしかなかったけどw。ローマを出た時は割と空席があった車内も二回くらい停車したらすぐに満席になった。
イタリアでの出来事をノートに書き留めているとかなりガタイの良い青年にペンを余分に持っていたら貸してくれないかとジェスチャーとイタリア語交じりの英語で言われたので、昨日スーパーで買った三本セットのボールペンのうちの一本をプレゼントした。そんな事をしているうちにフィレンツェ・リフレディ(Firenze Rifredi)駅に到着。まず、ここで降りる。けどここはまだ私の目指しているフィレンツェではないのです。いわゆるフィレンツェ中央駅って言われてるのはフィレンツェサンタ・マリア・ノヴェッラ(Santa Maria Novella)駅。ICはここまでしか来ないのでリフレディ駅で在来線に乗り換えです。すぐなんだけどね。
同じような経路でフィレンツェに移動する人がいっぱいいたのでそんなに迷わずホームへ。小さい駅だったので構造もシンプルだった。一応駅員さんにも確認した。トレニタリアの駅員さんはホームで煙草吸うし、ピアスも開いてる。日本とけっこうイメージ違うなぁ。







そんな(テルミニ駅に比べれば)小さい駅でも階段のところには荷物運びをして日銭を稼いでいる中学生くらい? の男の子達が居て、スーツケースを転がしている私はしきりに声を掛けられた。改札無いから構内出入り自由なんだな。とりあえず聞いてみたら運び料は5ユーロとか。数十段の階段で5ユーロは高すぎだろjk、ということで自分で運びました。ちなみにイタリア語で「5」は「cinque」、「チンクェ」って発音するらしいんだけど、その運び屋の子達はどう聞いても「チンコユーロ」って言ってるように聞こえた。チンコチンコ言ってるので最初聞いたときリアルに噴きそうになった。訳も分からず勝手にスーツケースを運ばれて5ユーロ請求されてる人も各ホームにちらほら。階段付近はそういう声でかなりうるさいのでホームの端の方に移動したら欧米系の観光客の人がその場でパンにマーガリン塗って食べてた。使い切りタイプじゃなくて、家の冷蔵庫に入ってるようなサイズのマーガリン。ジャムも便ごと持ってた。なんか、パねぇって思った。
そのうち在来線と思わしき電車が来たのでそれに乗ってサンタ・マリア・ノヴェッラ駅へ。広いけどローマのテルミニ駅よりも観光客割合が高いっぽい。まぁ、街全体が世界遺産だし、ローマと違って首都って訳でもないしなw そして踏み出すフィレンツェの街。もうここにはマキさんのように頼りになる知り合いもいない。旅本番って感じだ! と気合を入れつつ、ローマよりも凹凸の激しい石畳に苦戦しながらとりあえず予約したホテルを探す。確かフィレンツェに着いたのは13時くらいだったと思う。ガイドブック付属の地図を頼りにホテルを探すけれど全然わからない。メディチ家礼拝堂の近くにあるらしいんだけどまず、メディチ家礼拝堂が見つからない。散々彷徨ってどっかの広場っぽい場所に出たところで私は自力捜索を諦めた。即ち、人に聞くことにした。
見回すと革洋品店のおじさんがこっちを見ている。中年なのにジローラモさんのようにスラっとして腹も出てない。すごいなイタリア人、と思っていたら向こうから声を掛けてきたのでメディチチャペル、とかホテルの名前とか言って中二レベルの英語で道を知りたい素振りを伝えるもイマイチ伝わってない様子。それどころか何故か店の中に招き入れられ、イスを進められ、カプチーノを飲むか、と聞かれた。
この辺で色々と不安になってきた私はカプチーノを辞退。が、とにかく何か飲めと勧められるので早く飲み終わるエスプレッソをくれ、と言ったらステファノと名乗ったおじさんは電話で私のエスプレッソを注文した。その間、
「やぁ、君は日本人? 日本人は好きだ、友達もいっぱいいる。僕の日本人の友達はモデルをやっているんだ。彼女はとてもクールでとても美しいんだ。僕の父親はアルマーニに勤めていて、そこから直接卸してここで売ってるんだ。だから安く出来るんだよ。君にも一つなにかプレゼントしよう。バッグ? 靴? 手袋が良いかい? ジャケットも良く似合うと思うよ(意訳)」
とかなんとか言いながら肩に手を回したりと色々イタリア的なスキンシップを図ってきたのでそれとなく避けてたらエスプレッソ到着。向かいのバールから若いお兄ちゃんが届けに来た。とりあえずそれを速攻で飲み干す。一応お礼を言って立ち去ろうとしたんだけどステファノはなかなか帰してくれない。
「そんなに急がなくていいじゃないか。そうだ、君、このお店は七時に閉めるから、そしたらこの店においでよ。ポンデ・ベッキオ、シニョーリア広場、ドゥモどこでも案内してあげるから(意訳)」
いや、いいよ、と断ってもステファノは食い下がる。
「どうして? せっかくフィレンツェに来たんだから楽しめばいいじゃないか。そういえばフィレンツェの前はどこにいたの? ローマ? あー、ローマの奴らはみんな詐欺師さ。ここはフィレンツェ、ローマじゃないよ、だから皆親切。僕を信じなよ(意訳)」
どうにもこうにも諦めないステファノにどう言ったら良いかわからず、私は悩みぬいた末、こう言った。
「I love lonely.」
あれだけ饒舌に喋っていたステファノが一瞬息を呑み、繰り返した。
「You love lonely?」
「Si.」
そこからなんて言うか、すごく心配されたようで
「君はまだ若い、若いうちは僕もそういうことを度々口にしたけど、いいかい、人生には家族や友人や恋人が必要なんだ。人は一人では生きて行けないんだよ、君の事を愛してくれる人がきっといるから!」
帰国してから聞いたんだけど、まず「Lonely」なんて日常では殆ど使わない言葉らしいです。ステファノはその後も人生において人と関わる素晴らしさ(だから僕と一緒に遊ぼうよ的なことも)を話していたけど、私がひたすら「I love lonely」を繰り返すのでそのうち諦めたらしく、開放してくれた。その時やっと道を教えてくれた。ありがとうステファノ。出来ればもっと早く教えてほしかった。
もしかしたら本当に善意で誘ってくれてたのかもしれないけれど、私はそのお誘いにのる勇気なんてもちろん持ち合わせていなかったのでステファノとはそれっきりです。
という訳でやっとの事でメディチ家礼拝堂のある広場に到着。で、更に彷徨ってホテル発見。集合住宅の何フロア分かがホテルになっているらしくて、パっと見看板も出ていなかったのですんげー判り難かった。表札兼呼び鈴みたいなのの、それっぽい名前の場所を押してインターホンで会話するも要領を得ず(音質も悪く、何よりも私の英語力の無さが原因)、そこに住んでいるっぽい人がたまたま通り掛ってドアを開けてくれたので滑り込む。

扉が閉まるところ。あそこから入ってきた。こう見えても自動ドア。

で、更に中に扉がある。外の扉と中の扉の間にエレベーターホール。ここでうろうろしてたらホテルの人が迎えに来てくれた。
気のいいおじさんで英語も上手。部屋の説明を簡単に終わらせてから「Welcome Firenze!」と握手。ぶんぶんと握った手を振りながら「ゆっくりしていってね!」的な事を言ってくれてなんかじんわりときたw
どうやら家族経営の小さなホテルらしい(あまり調べてなかった)ホテルっていうかペンションっぽい感じ? 日本で言うと多分民宿。エレベーターがなかったり多少不便だけどシャワー・トイレ付で安かったし、部屋は天井が高くて清潔だったし、部屋はすっきりしてそこそこ広かったので私は満足だった。テレビ無かったけどあっても見ないしねw 立地もメディチ家礼拝堂のまん前でフィレンツェ歴史地区の中央寄り。

部屋は路地に面していてこんな感じで外が見えた。
チェックインを済ませて一息付いてさっそく街を歩いてみることに。
ホテルのおじさんが地図をくれて、その地図の目ぼしいところに印を付けてくれた。それをポケットに締まってローマより凸凹のきつい石畳の町を歩く。
が、腹が減っていたので早速フィレンツェ市民の台所、中央市場へ。市場には安くて美味しいものがいっぱいあるらしい、という情報を掴んでいたのだけれど、行くのが遅すぎて(15時過ぎていた)市場は閉まっていた……。仕方ないので市場近くの白髪の渋いウェイターのじいちゃんのいる店で遅いランチ。

サラダとパスタとメインが付くセットとグラスワインを頼んだんだけどパスタがポモドーロと知って微妙に不安に(生のトマトが苦手つか食えない)。けどかなり生っぽかったにも関わらず食べたれた! なんだろ、イタリアマジックか? ここでもサラダはどんと盛られた生野菜に自分で塩・胡椒・オリーブオイル・バルサミコ酢で味付けするタイプ。自分好みの味に出来て良いと思う。
最後にカフェをもらって満腹でお店を出る。もう17時近い時間だったので(日は高いけど)適当にプラ付くことに。


そしたらサン・マルコ教会に出た。



せっかくなので入ってみる。




最後はサヴォナローラの像なんだけどブレブレに……。
教会を出た後、広場のお菓子屋さんでクッキーとジュースを買って食べて一息。更に歩くことに。そこでやっとドゥオーモに出る。
突然現れてその細かさ、デカさにビビる。





天国の門




回り込んでクーポラ側。


ジョットの鐘楼。しばらくファザードを眺めながらジェラート食べてたんだけど、意を決してジョットの鐘楼に登ることに。「心臓の弱い方は上らないで下さい」とか注意書きしてあって怖えーーーwww






やっと外が……昼に飲んだワインが回ってきてけっこうキツい……。








着いたーーーー!!! ジェラート食べてなかったらヤバかったなふぅ。










クーポラに登ってる人達。

そして同じ道を引き返して降りる。受付ではお土産も売っている。

ほどよく日が暮れてきたので適当にふらふら歩いてスーパーで水とか夕飯買ってフィレンツェ一日目終了。ホテルの建物は今度は自力で開けられたw





ローマに比べてコンパクトな街だなぁ、という印象でした。