2009/09イタリア旅行記:vol.3 ローマ二日目

vol.1 自宅→成田→ローマ:フィウミチーノ空港
vol.2 ローマ一日目
vol.3 ローマ二日目
vol.4 ローマ→フィレンツェ一日目
前日の恐怖体験(大げさ)から早速ホームシックに。でも観光地を巡っていくうちにやっと慣れが出始めた。今回も写真だけは多目です。
 昨夜、早く寝過ぎたのか、それとも時差の影響か、朝の四時くらいに眼が覚める。外はまだ薄暗い。
日本時間だと12時くらいなので丁度良いと思い、お母さんに電話。入院しているばーさまの容態を聴くと、落ち着いているとのこと。私は既に日本に帰りたくなっている、と泣き言を言うタイミングも無く「電話代高いから」と切られる。ますます募るアウェイ感。
 仕方ないので二度寝……したけれど一時間後にまた眼を覚ます。朝食まではあと二時間近くある。シャワーを浴びて身支度をして、再びベッドにごろごろ。あまり真剣に眼を通していなかった『地球の歩き方』をパラパラと捲る。そういえば今日はヴァチカンに行くんだった、と思い出しヴァチカン美術館の予約明細を持ち歩き用カバンに入れる。
 私はヴァチカン美術館の予約を朝の9時で取っており、それに間に合うようにヴァチカンに行かなきゃならない。昨夜マキさんにお聞きしたところ、サンピエトロ広場はバスの方が便利だけれど、美術館は地下鉄の駅の方が近いとのことだった。
まぁ、八時頃にホテル出れば間に合うだろ、とざっくりと計算。昨日のスリ未遂を引き摺っていて、正直なところ出来れば外に出たくなかったけれど、ヴァチカンは料金先払いで予約取ってあるし、なによりもローマまで来て引きこもりっていうのはもったいない。一回くらいのアクシデントでくよくよするな、私の一番最初にプロデュースした春香なんて初舞台で5秒に一回は転んでたじゃないか、と自分をひたすら鼓舞する。そうだ、私は基本的に自分の都合と損得を優先する性格。少しくらいの恐怖体験なぞ、利益(この場合、旅行の元を取ること)の前にはちっぽけな存在に過ぎない! とひたすら鼓舞。改めてセキュリティ項目を自己点検し、PSPを起動して嫁(千早)の動画とかを見てなんとか立ち直る。やっぱり千早は最高に可愛いな。
 その後、昨日脱いだ服などをまとめたりガイドブック類を読んでヴァチカンの観光ポイントを復習しているうちに朝食の時間に。食堂はエレベーターで地上階(エレベーターだと「0階」と表記されることが多い。日本で言う一階のこと)まで降りて左手にあると昨夜フロントで教わったのでその通りに行ってみる。ロビーみたいなとこに出たけど食堂はない。
あれ? leftって左だよな? とか今時の小学生でもわかるようなことを再確認しながら再度フロントで尋ねると、左に行って、更に左に曲がる、と言われる(英語で)。ラストに一文を聞き逃していたらしい。
ちなみに、お店やホテルのフロント、美術館などの観光施設の受付ではほぼ100%、英語が通じます。レストランもだいたい英語通じるしメニューにも英語表記がある。運が良かったら日本語メニューもあるw
フロントで言われた通りに行くと今度こそ食堂に辿り着いたらしく、何人か先客が居た。みんなそれぞれテーブルについてパンやハムを食べている。目が合った人に軽く会釈して、私もとりあえず空いてるテーブルに座った。
食堂(そんなに広くない。10畳くらい)を見回すとパンやハムやチーズや飲み物が載ったカウンターがあり、そこから勝手にお皿に取って食べるビュッフェ形式らしいということが分かった。お腹の減っていた私は早速パン(ロゼッタパンと袋に入ったラスクみたいなの)とバターとハチミツ、ハムとチーズを取る。ちょっと取りすぎかと思ったけどハムとチーズは遠慮なく頂いた。チーズもハムも薄くスライスしてあるタイプ。明らかに野菜が足りていないので飲み物はグレープフルーツジュース。腹ペコなので早速ロゼッタパン(六角形の中が空洞のパン)に噛り付く……もロゼッタパンが異常に硬く、先に歯が負けそうになる。いけねぇいけねぇ、パンってのは千切って食べるもんだった、日本人のマナーが疑われちまうぜ、と千切ろうとするも今度は指先が負けそうになる。ちょっと涙目になって周りを見ると、みんな真ん中にナイフで切れ込みを入れてそこから千切って食べてた……。そっか、私、自宅だとパン一年に5回くらいしか食べないからわかんなかったよ……。
と言うわけで周りに倣ってロゼッタパンをナイフで横に切り、中の空洞にバターとハチミツを入れて食す。硬かったけど食べれないほどじゃない。腹ペコが加速してきてハム、チーズと次々に片付け、もう一度ハムとチーズを取りに行こうと立ち上がると、今まで何処に居たのか簡易メイド服みたいなのを着たイタリア人の従業員らしきおばちゃんが私に何か聞いてきた。もちろん、イタリア語で。おばちゃんは私のテーブルの上の空のカップを指し再度私に何か尋ねてくる。どうにか「カッフェ」だけ聞き取れたので「カフェラテ、ペルファボーレ」と言うと短く「si」と言って去っていった。お前に振り撒く愛想なんてねぇよ、といわんばかりの潔い態度で、ああこれがイタリア式ツンデレってヤツかと理解。ちなみに「ペルファボーレ(Perfavore)」は英語の「Please」と同じ意味。だと思う。「si」は「Yes」。「Un caffe, per favore.」「Si.」で「エスプレッソを一杯下さい」「おk」って意味。
私が二度目のハムのお代わりを食べていたらさっきのメイドおばちゃんがカフェラテを持ってきて再度私に何か訊いてくる。今度こそ本当にわからなかったので勘でルームナンバーを尋ねてるのだと断定、カードキーを見せるもなんか呆れられる。その後、問答無用でチョコクリーム入りのコルネット(チョココルネみたいな感じ。生地が層になっていてクロワッサンっぽいけどちょっと違う)を置いていかれる。周りを見るとみんなそれっぽいパンがテーブルの上にある。中のクリームが違うから、多分さっきはどのパンが良いか聞かれたんじゃないかと気付き、自分の見当違いも甚だしい行動をひたすら恥じる。恥ずかしくてすぐに立ち去りたかったけど、お腹が減っていたので皿の上のものは完食することに。羞恥心に食欲が勝った瞬間である。
 イタリアの朝食はブリオッシュやコルネットと言った半分ケーキみたいな甘いパンにカフェラテやカプチーノみたいなミルク入りのカフェだけで済ませるのが一般的らしい。カプチーノとブリオッシュ、それがスタンダード。
しょっぱいものは食卓に載らず、甘いものしか摂らない。普通のパンにもヌッテラっていうナッツとチョコのペースト(日本でも売ってる)やハチミツやジャムを塗りたくって食べる。もちろん、甘いものにはkissも含まれる。リア充市ね。
しょっぱいチーズやハムは観光客用においてあるだけ。なので場所によっては置いてないところも多い。
でも料理に砂糖は使わない。なんか色々極端なんだな。オレンジジュースに砂糖入れるし。
 と言うわけで炭水化物多めの朝食を済ませて部屋に戻ると7:45。持っていく荷物をチェックして、部屋の中の散らばった荷物は全部スーツケースに詰めてロックして自転車用のキーチェーンで備え付けの家具に繋いだ。出発前から色んな人に、そしてローマについてからはマキさんに言われていたので防犯対策はしっかりと。
けど、盗られてもそんなに困らない(=すぐに手に入れられる)洗面用具はそのままにしておいた。っていうか実験的にそのままにしておいた。そして最後に歯磨きしてたらオサレ雑貨の折り畳み歯ブラシが即、折れる。これだからオサレ雑貨は貧弱で困るよ!!!! ついでに歯磨き粉も持って来てなかった。仕方ないのでブラシのついている部分を持ってどうにか歯磨きを終える。今日、観光から帰ってきたらテルミニ駅の中にあるスーパーで歯磨きセットを買おう……。
 時間も差し迫ってきたのでホテルを出てすぐさま地下鉄に乗る。駅に行くまでに見かけたバールはどこも満員御礼。そんなことは日常茶飯事なのか、イタリアの人達はぎゅうぎゅうの店内に体をねじ込んでいくけれど、もちろん私にそんな芸当は出来ないのですごすごと尻尾を巻いて引き下がった。でも一応、明日こそはバールで朝のエスプレッソを飲むぞ、と意気込む。
朝が早かったせいか、それともテルミニ駅で降りる人が多いからか、地下鉄では座席に座ることが出来た。昨日のスリの件で警戒心MAXな私は鞄を膝の上に抱えて亀のように過ごす。車内はおそらく同じ目的地に行くであろう観光客が半分くらいを占めていて、ヴァチカンの最寄り駅チプロ駅(Cipro - Musei Vaticani)に到着した瞬間殆どがどどっと降りていった。私も人の波に乗って降り、そのまま流されるようにヴァチカン方面に歩く。なんか、似たような状況に遭ったことがあるぞ……? とデジャヴを感じながらとにかく歩く。ホテルを出るのが少し遅くて予約した時間まであと30分を切ってたから急いでるのだ。ヴァチカンのボディチェックは時間がかかると聞いていたので予約の20分前には着きたいと思っていたのに。イタリアに来てまでこのギリギリ癖は直らないらしい。
ヴァチカン周辺は朝って時間帯もあるだろうけれど、昨日歩いたローマ市内よりは全然静か。観光客だけがヴァチカンを目指しておしゃべりしながら歩いている。車もあまり走ってない。途中、修道服を着たシスター達を何人も見かけた。さすがカトリック総本山お膝元。
大きな通りを渡って、ヴァチカン美術館の案内掲示板が出てくる頃には、はっきりとした人の列が出来てきていた。けど、この人の列はかなりスローに動いていて、急いでる私のペースには若干、合わない。よし、追い越すぞと決めて歩調を速めたらすぐに列がストップしていた。おいおい、ここが最後尾かよ!! そしてさっきのデジャビュの正体に気付く。
 ああ、これ、コミケの入場列だ。
 最後尾から早足で10分ほど歩いて漸くヴァチカン美術館入り口に到達。まだヴァチカン美術館の開館の時間じゃないので列の最前の人達はチェーンで遮られて待ってる。私はその列を追い越し、ウロウロしている係員だかガードマンだか良く分からない人に「あ、アイ、リザーブ」と言いながら持ってきた予約票を見せた。すごく……カタコトです。
予約票がメールで送られてきた時には「ホントにこんなんで大丈夫なのか!?」と思っていたので、係員だかガードマンだかの人が予約票を確認している時はすごくドキドキした。ここで何かが間違っていて入れないよーんって事になっても、問い合わせるだけの英語力(もちろんイタリア語力も)が私には無いからだ。
そんな私の胸中なんぞ知る筈もないそのガードマンだか係員だかの人は私の予約票をさっと確認すると「オーケイ」と言って入り口を指し示した。
「オーケイ?」
「Si.」
と再度確認して入り口へ。ハッハー、これが予約金4ユーロの力だ!!!!! と言わんばかりに行列に並んでいる人々を尻目に意気揚々と入場したら早速空港並みのボディチェックが待っていた。手荷物はトレイに、鞄はそのままコンベアに載せて自分は金属探知のゲートを潜る。ボディチェックを終えると後は開館を待つばかりらしく、他の観光客に混じって入り口の写真を撮ったりしてた。

けど、よくよく考えたら私、予約票は持ってるけど入場券は持ってなくね? いいの? それでいいの? と不安になり取り合えず観察。困った時は周りの人を見るに限る。すると私と同じようにプリントアウトした予約票を持った人がチケットカウンターっぽい窓口に予約票を持って行っているのも目撃。早速私も空いてるカウンターへ。
「ボンジョールノ……あ、アイ、リザーブ
お前はそれしか言えないのか。とりあえず挨拶して予約票を出すと中のおじさんは予約票を確認した後入場券をくれた。「ほら、ここに書いてあるだろ?」みたいなことを予約票を指しながら言われたけど、ごめんなさい、よくわかりませんでした。確か日本に居る時、この部分をYahoo!翻訳で読んでみたけど忘れていました。とりあえずお礼を言ってまた観光客の中に戻る。
 そのうち時間になったらしく、まず団体の観光客のみなさんがガイドさんに連れられて入場。特に順番はないらしく、私もその後に続いて入った。あの有名な二重螺旋階段を上りきると行き先案内板が。とりあえず最初はミケランジェロの「最後の審判」を観る為にシスティーナ礼拝堂に向かうことに。これがなかなか重大なミステイクへのフラグだった。
システィーナ礼拝堂に入ってまずはあの有名過ぎる「最後の審判」を見るべく祭壇のある部屋へ……って言っても広過ぎるし、場所もわからないので、とりあえず同じところに向かっているであろう、観光グループの後を付いて行くことにする。









いくつもの廊下を通って、だんだんと礼拝堂の奥に近付いて行くのを意識してくる。朝イチだったので人もかなり少なく、なんていうか、建物のもつ荘厳さがどんどん圧力を強めてくるって言うか……とりあえず心拍数は少しずつ上昇。なんか少し寒くなってきた。宗教施設独特の雰囲気に飲まれつつ、ついに祭壇のある部屋に辿り着く。そう、あのミケランジェロの「最後の審判」が描いてある部屋です。薄暗くて一際室温が低く感じられる。人が少なく、私は思う存分「最後の審判」を眺めることが出来た。つかデカ過ぎて全体を眺めていると細部が見えなくなるwwww眼鏡の度をキツめにした方がいいかも。撮影禁止なので写真は撮ってません。カメラを首にかけたままにしてたので最初だけ警備員さんにやんわりと「カメラはダメだよ?」的なこと言われたけど、こっちが撮る素振りを見せなければ普通に放置。ちょっと「最後の審判」に圧倒され過ぎてしばらく口をぽかんと開けて鑑賞。同じ部屋にあった筈の「アダムの創造」などの天井画を思いっきり見逃すwwwwマジでバカ。
人が増えてきたので入ってきたのとは違う扉から出る。私がヴァチカンで見たかったのはこの「最後の審判」と同じくミケランジェロ作の「ピエタ」。それらを最初に見てあとは時間が許す限り適当に見て回ろうとか考えていた。何しろ一週間かけても見切れないと言われるほどの展示品がヴァチカンにはある。
ここで「ピエタ」がどこに展示してあるかを把握していなかった私は更なる重大なミスを犯すのでしたw
とりあえず祭壇のある部屋を出て「ピエタ」を目指す。つか、広すぎてどこがどこだか本気で分からず。警備員さんとかに聞いて示された方を目指す。「最後の審判」がある部屋を何度も通り過ぎ、「最後の審判」のありがたみがどんどん薄く……
で、結局三人目くらいに聞いた警備員さんにツアー客と一緒に外に出される。あ、あれ?

ちなみにこの写真を友人達に見せたら
「これ、カンペキにサンクリだよね」
とか言われた。
今更人の流れに逆らえるような状況ではなく、流されるまま私は礼拝堂の外に。そしてそのままサンピエトロ大聖堂へ。

つーか、デカいし広いし。先代法王逝去の時、この広場が人で埋まっているのをテレビで見たけど、マジパねぇ。そしてなんとなく困惑しながら大聖堂内へ。



入ってすぐにその圧倒的なスケールと重厚な雰囲気にぽかんとするばかりの私でしたが、ふっと我に返って周りを見渡すと……あ、あった……。
ミケランジェロの、と言うだけでは飽き足らず恐らく現存するピエタ