アイマス二次創作SS 『ZELL』 【美希 千早】

百合m@s企画に出すつもりが死ぬほど遅れて年内ギリギリに。
久々に書いたSSなんか長くなった。
内容はほんのり百合風味って感じです。
消化お題は「笑顔」「キス」。続きを読むからどうぞ。




 美希が私を見ている。
 いつもの眠そうな表情ではなく、楽しそうな笑顔で。いつものレッスン室、私達はレッスンのために二人でプロデューサーを待っている。

『ZELL』

 美希と私がユニットを組んでデビューしてから半年と二ヶ月。今まで出した曲はデビューを含めて三曲。どの曲もチャートの上位には長く残れなかったものの、プロデューサーの手腕か、地道なレッスンと営業の成果か、はたまたその両方か、一番最近に出した曲は月間チャートの13位まで上昇し、スマッシュヒットとなった。段々と色んなメディアからの出演オファーも増え始め、私たちのユニットは徐々に知られていった。次の曲でメジャーヒットを果たす、プロデューサーはそう息巻き、私と美希もそれを目標にレッスンに励もう、と約束し合った。
 美希が私を見ている。
 何も言わず、その恵まれた容姿を更に輝かせる、零れるような笑顔で。いつものレッスン室、外は冬の風が吹き始めた十月の終わり、私はプロデューサーから先に受け取っていた新曲の楽譜を美希に渡す。
 美希が私を見ている。何も言わず、ただ笑顔で。
「なに、美希?」
 美希の視線に耐えかねて、先に声を掛けるのはいつも私だ。
「別に、なの」
「そう?」
 美希は本当に何も考えていないらしく、私の手から新曲の楽譜と歌詞カードを受け取ると「みき」と自分の名前を上端に書いた。私も同じように「如月千早」と自分の名前を書く。名前を書き終わってふと顔を上げるとまた美希が私の顔を見ていた。
「どうしたの、さっきから」
「え? どうもしてないよ?」
 まったく悪びれずに、しかもにっこりと笑いかけながらそう言われると、美希の行為を追及する私の意思はすぐに失速してしまう。美希はただ笑いかけてくるだけ。大きな瞳が私を捉えている、でもそれだけ。
 時折、こういうことがある。美希は何も言わずに私の顔をじっと見ている。私が気付くと笑いかけてくる。何も言わず、ただ笑いかけてくる。
「次の曲、今度はオリ○ンベスト10に入れるといいなってミキは思うな。この前の曲はすっごく惜しかったけど入れなかったの」
「最高13位だったものね。でも次はきっと手が届くと私も思うわ」
「ミキもそのつもりっ」
「その為にレッスン、頑張りましょう」
「はーい、なの! がんばるのは疲れるし、ミキ、あまり得意じゃないけど……千早さんとならミキもがんばろうかなって思うの!」
 私が楽譜に目を落として主旋律をハミングで辿ると、美希が輪唱のように後に続く。新曲の譜読みはデビュー曲からこんな感じだった。私が辿り、美希が続く。だんだん輪唱の間隔が短くなっていき、最後にはピタリと重なる。
「追いついたの」
 決まって美希はこう言う。その瞬間が、かつては私のささやかな楽しみだった。けれども今はほんの少しだけ、焦る。私の後を辿って追いかけてくる美希。どんどんと狭まっていく間隔。
「今回もかなり良い曲だなって思うな!」
「そうね」
 呼吸を乱さないように、姿勢が崩れないように。私が生涯を賭けて走っている道を、美希が鼻歌交じりに追いかけてくる。その足音を、私を呼ぶ声を背後に聞きながら、私は美希が私に追付く筈なんてない、と思い込んでいた。
「早くこの曲をステージで歌いたいって思うなっ」
「そうね」
 でも美希は誰もが認める、天性の才能の持ち主で。歌うこと以外の表現が苦手な私と違って、美希のステージパフォーマンスは同ランクのアイドルの中でも群を抜いている。自分の才能を信じきることが出来ない私はいつしか美希の存在が眩しくなってきていた。いつか美希が私を追い越して努力だけでは到達出来ないような場所に行ってしまうのではないか。そんな考えが私の中に根を下ろそうとしている。
「千早さん?」
「なっ、なに?」
「ぼーっとしてるの。大丈夫?」
 覗き込む真っ直ぐな瞳。星の様に瞬いて、多くの人間を虜にする。
「ちょっと、考え事してただけよ」
「そう? お腹空いてるならミキのおにぎり分けてあげるのっ」
 誰かと競争するために歌を歌っているんじゃない。自分にも他人にもそう言い続けて来たのに、今は美希に追い越されるのが怖い。目の前に初めて自分以上の才能が現れた、それだけでこんなに動揺しているという事実を私は認めたくない。
「大丈夫。ありがとう、美希」
 自分の中のドロドロとしたものから目を背けたくて私は極力、余裕のある態度で美希に応える。
 しばらくするとレッスンの準備を終えたプロデューサーが部屋に入ってきて、歌詞レッスンが始まった。


***


 千早さんを見てみる。
 千早さんは新曲の楽譜を目だけで追って、時々メロディを口ずさむ。いつものレッスン室、プロデューサーが来る前に予習しましょうってことで、二人で譜読みをすることにしたの。
 千早さんを見てみる。
 真剣に、まっすぐに、聞く人の体がピンと真っ直ぐになっちゃうような雰囲気で千早さんは歌う。いつものレッスン室、今度こそメジャーヒットを狙えそうだけど、ミキは何か物足りないの。
千早さんを見てみる。気付いてくれるかなって思いながら。
「なに、美希?」
 千早さんはたまにこうやって聞いてくる。
「別に、なの」
「そう?」
 千早さんはちゃんと気付いてくれる。けど、気付いてくれるだけなの。ミキのターゲットはその先にあるのに。ミキは最近良く考えるの。千早さんってなんでいつもつまらなそうな顔してるんだろう? って。
「じゃあ、頭から通して歌ってみましょう。つかえてもいいから」
「はーい、なの」
 千早さんの笑った顔ってすっごく可愛いって思うのに。でも千早さんの笑顔ってすっごくレアなの。ミキもプロデューサーもあまり見たことないの。たまにくすっ、とかにこっ、て笑う時もあるけれど、全開の笑顔って見たことないかも。プロデューサーの、高い声でとか低い声でとか、強くとか弱くとかそういう指示にはすぐ応えられるのに、ステージの上で楽しそうにするのは、千早さん苦手みたい。いつもなんていうか、張り詰めてるっていうか、とにかく楽しそうじゃないの。美希はそういうの、上手く言えないけれど、すごく、すごーく、美味しい海苔と生たらこがあるのに白いご飯が無いっていうのと同じくらい、もったいないって思うな。
 だからミキはミキが楽しそうだったら千早さんがつられて楽しそうに笑ってくれるかなって思ってずっと笑いかけてたんだけど、千早さん、全然つられてくれないの。ミキ、結構がんばったと思うんだけどな。だから今日は思い切って聞いてみるの。
「ねーねー、千早さん」
「何?」
「千早さんはいつもむーって顔してるけど、つまらないの?」
「え……別にそんなことはないわよ?」
「ホントに?」
「本当よ」
「じゃあ、笑ったらいいって思うな。笑ったらきっとかわいいと思うの!」
 ねっ、と千早さんの顔を覗き込んでみたんだけど、千早さんはふっと顔を横に振ってまたむーって顔をして言った。
「私はそういうの、得意じゃないの」
 敵はなかなか手ごわいの。だったら次の作戦!
「じゃあね、一緒にお休みとか取れたらいいなって思うの。ミキ、千早さんと二人でどっかに遊びに行ったりしたいなー。もうすぐミキの誕生日も近いし! ね、プロデューサーに聞いてみようか?」
 二人でお休み。すっごく楽しそうなの! これだったらさすがの千早さんも笑顔になってくれるかな?
「美希、それ本気で言ってるの?」
「……え?」
「今の私達にそんな暇は無いわ。私は休んでる時間なんていらない。そんな時間があるくらいならレッスンしていたいって思うもの」
「で、でも、少しは休まないといくら千早さんだってバテちゃうよ?」
「もちろん休息は必要だと思うけど。でも二人一緒にオフを取る必要は、感じられないわね」
 立ちはだかる壁はミキの想像以上に固く厚かったみたいなの。でもそんな言い方しなくたって良いと思うな。
「ち、ち、ち……」
「美希?」
「千早さんのばかー!」
「美希っ! どこへ行くの!?」
 こんな気持ち、今まで知らなかった。悔しいって言うか、悲しいって言うか。どうして千早さんはわかってくれないのか、どうしてミキはこんな気持ちなのか、全然解らないの。本当に良く解んなくてひたすら走り続けて。後ろから千早さんの声が聞こえた気がしたけれど、途中で振ってきた冷たい雨の音にかき消されてすぐに聞こえなくなったの。


***


 普段はこんな無茶はしない。体調管理はショウビジネスではなくても仕事を持つものの当然の務めだと思っていたから。雨が降れば傘を差す。けれども私はそんなことは忘れて美希を追い掛けていた。
「こんな時に風邪なんて……くっ」
 発熱したのは美希を見失ってから三時間後だった。事務所に戻ってすぐに体を拭いたけれど、十月の雨は私の体力を思った以上に削っていったらしい。顔を真っ赤にして倒れ込んだ私を、音無さんとプロデューサーが応接間まで運んでくれたことは、覚えている。
「少し寝てるといい。後で落ち着いたら病院に連れて行くから。なに、千早は若いからすぐに治るさ」
 プロデューサーはそんな事を言っていたけれど、私は熱に浮かされて考えたくも無い思考の泥沼に嵌っていた。さめているのか寝ているのか、夢なのか現実なのか。境界が曖昧になった頭。
 こんなんじゃ、美希に置いていかれる。
 美希の眩しい笑顔。
 私には必要ない。
 私には歌がある。
 でも、その歌で美希に負けたら?
「美希……」
 うわ言で呟いたその名前。私の大事な仲間、妹のような後輩、そして私の……。
「呼んだ?」
 その声が夢か現か、私にはもう判らなくなっていた。
「千早さん、起きてるの?」
「……美希?」
「ミキだよ。あの……ごめんなさいなの……」
 心配そうな美希の顔。でも私はそれを素直に受け取るだけの余裕も度量もない。
「これは私の不注意だから、あなたのせいじゃ、ないわ」
 気遣っているような言葉を突き放すような態度で言ってしまう。
「ミキ、あの時夢中で、何も考えて無くて……」
「だから、あなたのせいじゃないって言ってるでしょ……」
「でも……あ、これ、小鳥がお薬渡してって。お水もあるの。千早さん、起きれる?」
 美希に支えられて上体を起こす。冷たい水が熱を持った口に気持ちいい。
「こんな大事な時に風邪ひいちゃってごめんなさいね、美希」
 どんなに言葉を繕っても態度に棘が出てしまう。美希もきっと気付いてるだろう。
「千早さんっ! 本当にごめんなさいなの」
「美希、もういいから……」
 正直なところ、早く一人になりたい。もう態度も言葉も限界に近付いてきている、
「あのねっ、ミキ、風邪、治す方法知ってるの」
「……本当?」
 おまじないかなんかだろうか。それで気が済むならさっさと済ませてしまいたい、そんな風に思ってしまう自分にうんざりする。
「うん……学校の友達に聞いたんだけど……」
 美希が私を見ている。心配そうな瞳が不意に決意の視線を発してだんだんと近付いてくる。
「んっ」
 唇が重なった瞬間に声を出したのは美希の方だった。けれどもその声はすぐに私の跳ね上がった鼓動に掻き消されていく。
「なっ……」
 唇を離した美希は確認するように私の顔を覗き込んでいる。
「み、み、美希っ?」
 何が起きたのか、頭では認識しているのだけれど、気持ちがついていかない。
「えっとね、こうすると、ミキにカゼのバイキンが伝染って、千早さんが元気になれるんだって! 前に学校で聞いてきたの!」
「はぁっ?」
「千早さんに早く良くなって欲しくて……あ、でもそれだけじゃないかも」
「何を言ってるのか……」
「えっと、千早さんのこと好きだからちゅーしたの。で、ちゅーで風邪も治るって聞いたから丁度いいなって思ったの! 好きだからちゅーしたって、おかしい?」
 想像の斜め上を行く美希の言葉と行動、数秒前の唇の感覚。風邪で低下した、ただでさえ許容量の少ない私のダムはあっという間に決壊した。
「ふざけないでっ」
 風邪で大きな声は出なかったけれど、それが余計怒りを演出する結果となった。美希の笑顔はあっという間に不安の色に侵食されていく。
「出て行って……お願い」
「わかったの……」
 静かに閉められたドアに美希の気遣いが感じられた。けれども私はぐるぐる回る頭を今度こそ深い眠りの底に沈めようと必死になることしか出来なかった。
 夢だったらいい、そう思いながら。


***


 プロデューサーの言った通り、私の風邪はあの日から二日で治った。新曲のためのレッスン続きのスケジュールだったので仕事に穴を空けずに済んだのが不幸中の幸いだったかもしれない。レッスンの機会を少し失ってしまったけれど、その分体調を整えられたと思うことにした。
 あとの心残りは……美希。
 あの時私は夢だったらいい、そう思った。けれども一体「何が」夢だったら良かったのか、後から考えてもわからない。
美希とユニットを組んだこと?
違う。
美希に突き放すような態度をとった事?
違う。
風邪をひいたこと?
違う。
 答えの出ないまま、私はあの日のようにプロデューサーと美希の待つレッスン室に来た。
「おっ、千早すっかり良くなったみたいだな」
「おはようございます、プロデューサー。お陰さまで全快しました。遅れた分を取り戻せるよう、厳しく指導お願いします」
「まぁまぁ、まだ病み上がりだから無理はするなよ?」
 笑うプロデューサーの他にレッスン室には人影が見当たらない。そう、美希が居ない。
「あのプロデューサー、美希は……?」
 あの時のことは断片的にしか思い出せないけれど、美希が居ないことに私は少し安堵していた。美希に居て欲しくない訳ではなくて、どんな顔で会えばいいのかわからなかったから。
「ああ、美希は……」
 プロデューサーの説明を聞いて私はどんな顔をしていたのだろう。呆れているっていうのは自分でもわかったのだけれど、プロデューサーは私のそんな表情を初めて見たと言った。
「千早さんに会えるって珍しく早く来てな。でもいつものようにソファで寝てたんだけど、様子が変で熱測ってみたら風邪っぽくてな。事務所で倒れるなんてお前達変なところ似てるな」
「あの、美希は今……」
「応接間で寝てるよ。レッスン終わったら社用車で千早と同じように病院だな」
 プロデューサーの顔が心なしかにやけているのは気のせいだと思っておこう。
「あの!」
「はいはい行っといで」
 千早がレッスンをサボるなんてまた雨が降るな、とプロデューサーは呟く。
「レッスンは後で必ずちゃんとしますから!」
 本当に風邪をもらってくれた、なんて信じていないけれど。
 どうして私はこんなに早足で美希の居るところに向かっているんだろう?
 夢であって欲しかったのは、美希が私から離れていってしまうこと。
 追い抜かれて、私と美希の距離がどんどんと広がっていくこと。
 そして、美希が私に近付こうとしていたことを、私が否定していたこと。
 そんな自分が恥ずかしくて、夢であって欲しい、なんて思った。でももう、そんなことは考えない。


***


 千早さんは怒ってたけど、おまじないの効果はテキメンだった。熱を測ってくれた小鳥がカゼって言った時、美希に伝染ってくれたんだって思った。だって千早さんが治って初めて事務所に出て来る日だったんだもん。
 あの日の千早さんみたいに事務所の応接間で横になる。千早さんは、多分来てくれない。あの時すごく怒らせちゃったから。
「ちはやさん」
 くらくらして眠くて、でも暑くて。来ないとはわかっていたから、呼ぶんじゃなくて、言ってみただけ。まだミキとユニット続けてくれるかな?
「ちはやさん……」
 千早さん、もうレッスン室かな。久しぶりのレッスンだからはりきってるだろうな。
「うぅ〜」
 熱が上がってきたみたいでなんか苦しいの。
「お水……」
「水ね、ちょっと待ってて」
 冷やりとしたものがおでこにあたる。なんか、指みたい? 小鳥が来てくれたのかな? でも小鳥の手はこんなに冷たくなかったの……。
「ことり……?」
「ちがうわ」
 なんか遠くてよく聞こえないの。
「じゃあ、律子……さん?」
「律子が良かったの?」
「じゃあ、だれ……?」
「一緒にユニット組んでる相手をもう忘れちゃったのかしら?」
 多分これは夢なんだ。だってあんなに怒ってた千早さんがミキのとこに来てくれるわけ、ないもん。
「美希、本当にわからないの?」
「え、ほんとうに千早さん……? レッスンは……?」
「レッスンは少し遅らせてもらったわ。それより……今度はあなたが風邪ひいてどうするのよ」
 そっと目を開けてみると、千早さんは本当にそこにいた。呆れたような、怒っているような。ちょっと表情がフクザツでわからない。
「はい、水。ゆっくり飲んで」
 ペットボトルからコップにお水を注いでる人は本当に千早さんで、ミキのことをお見舞いに来てくれたってことがなんだか信じられない。
「千早さん、怒ってないの……?」
「え?」
「あの、ミキ、千早さんの気持ちあまり良く考えてなくて……」
「そうね、カゼひいたことは少し怒ってるかもしれないわ。わざわざあんな伝染るようなことして」
「えへへ……でも二人でお休み、とれたね」
 ふぅーって長い溜息が聞こえる。やっぱり千早さん怒ってるかも……。ミキは千早さんがお見舞いに来てくれて嬉しいけど、千早さんはレッスンお休みになっちゃったし怒るのも無理無いかな……。
 そーっと毛布の陰から千早さんをチラっと見てみると、まだ呆れ顔でタオルを絞っている。横を向いているからどんな顔しているのかミキには良く見えないの。
「美希、顔を出して」
 千早さんの冷たい手がミキの前髪をかき上げて畳んだタオルをおでこに置いた。タオルの冷たさがのしって乗っかってきて、ぽやっとした頭が少しすっきりした気がした。
「私は」
 あ、きた、すっごいレアなの。
「出来れば風邪っぴきじゃない美希と一緒にオフを過ごしたかったわ」
 そのまま冷たい手でほっぺを撫でてくれた千早さんの顔は、今まで見たことも無いくらい優しい笑顔。思わず見とれてしまったくらい。
「何、美希?」
「別に、なのっ」
 千早さんの優しく笑った顔に見とれてたなんて言ったら、千早さん、また照れて怒っちゃうからね。
 すっごいレアな千早さんの笑顔、今はミキだけの内緒にしておくの。
 そう思って毛布に顔を埋める。
「今度のオフは絶対カゼなんてひかないの」
「そうね」
 やっぱりもったいない。ミキはそう思うの。


後書--------------------
とっても、美希が難しかった。